この地球にすんでいる僕の仲間たちへ
12歳の著者は、自閉症です。
前回の「自閉っ子は、早期診断がお好き」の著者は、
“アスペルガー症候群”ですが、
東田直樹君は、“高機能自閉症”です。
このところ「当事者が書いた世界」の本が出版されています。
自閉症のような見た目にわからない障害で、
さらに、コミュニケーションに障害があるとしたら
当事者が周りの人に理解されるのは至難の業。
これは、カミングアウトの本です。
これは、当事者がカミングアウトすることで、
大勢の人の役に立つという、貴重なカミングアウト。
12歳の少年がずっと抱えていた自閉症の世界を、
自らの文で語っています。
自閉症も、性格と一緒で本当に一人一人まったく違います。
東田君の世界観がすべての自閉症の人と同じではありません。
でも、共通する所はいっぱいあるはずです。
生きていることに希望をなくした5歳児って、想像できますか?
東田君は、文字で意志を伝える手段を持っています。
聴覚障害の方の筆談のように意思疎通をはかる術を持ったことで、
彼は少しは生きていくことに希望が持てるようになったようです。
巻末には本人のDVD付き。
「パソコンを使用した「夏の足音」の執筆風景」
「お絵かきボードに文字を書いて遊んでいる風景」
「“ひまわり”の描画風景」
「“希望をください”の朗読」
一生懸命に仲間たちのメッセージを送る東田君を見てください。
「この地球にすんでいる僕の仲間たちへ」
東田直樹・東田美紀(直樹君のお母さん)/著
エスコアール出版部 1900円(本体)