宙の家ソラノイエ


私は最高でも2階より上に住んだ事がない。
11階なんかだったらもう完全に、
ソラノイエだよね。



女子高生の雛子と中学受験を控えた真人。
単身赴任の父親とフルタイムで働く母親。
4人+おばあちゃんの萩乃。


人は年を取ると惚ける。
最近は痴呆という言い方が主流かな。
さて、
人は惚けたら心も人格も無くなるのでしょうか?
実際に介護の責任を担う大人と子どもではきっと受け取り方が違うのだろう。
そんな、視点の違いを子どもの側から書いた物語。


一人の人として、一生懸命最後まで生きている(た)おばあちゃんを
そのまま受け入れようとする姉弟の姿に、
大人の傲慢さを見せつけられた気がした。


おばあちゃんの煙とマンションの11階とどっちが高い?
人は昇天してソラノイエに行くのかな?



「宙の家」(ソラノイエ)


大島真須美/著
角川文庫  476円(本体)
他、「空気」も収録。


この作品は大島真須美さんのデビュー作。
まだ20代だった大島さんの若々しい感覚がそこここに感じられる。
雛子は当時の大島さんそのものだったのかもしれません。


ちなみに・・・


我が家のおじいちゃんは、殆ど寝たきり。
失語症でちょっと痴呆もあります。
でも、比較的元気です。
娘たちは「ヒロシ」と呼んでいます。
呼ばれたおじいちゃんはなんだかいつもにこにこしています。
私が会社に行くときに「行ってくるね〜」と言うと、
時々手を握って泣きます。