ちなつのハワイ


「アロハ」はハワイ語で「こんにちは」だったかなぁ…
ハワイ語で「マハロ」の意味知ってる?




ちなつの家の夏休み恒例の家族旅行といえば、
菅沢のおばあちゃんの家。
でも、今年は「恒例」じゃなくてハワイ。
お母さんの長年の夢だった「家族で海外旅行」
ホテルで久々の家族揃っての夕食。
でも、なんだか疲れる…
ちなつも、お兄ちゃんも何故なのか知っている。
それは、みんなが我慢した上の、危うい状態の一家団欒だから…。


ハワイのコンドミニアムでの夜、
ベッドの枕元に置いたレイから甘い香がしてくる。
ちなつは、慣れないベッドのせいかなかなか眠れない。


ふかふかのベッドの中で、色んな事を考えていると
居るはずのない、菅沢のおばあちゃんの声が聞こえてきた。
そして、振り返るとそこにはおばあちゃんが居た。


仕事最優先のお父さん、家族に夢を託し過ぎるお母さん。
受験生で優等生キャラのお兄ちゃん。
ちょっぴりおませな小学生、ちなつ。
そして、ちなつにしか見えない菅沢のおばあちゃん。


初めて体験した、家族での海外旅行。
それは、ちなつがそれまで知らなかった
両親の生い立ちを知り、魂の存在を感じた旅になった。
そして、ぎくしゃくした家族関係を軌道修正する旅でもあった。


ちなつの一家のような家庭って、案外どこにもありそう…
軌道修正できないまま、壊れてしまう家庭も増えているような気がする。
大人になっても、自分が子どもだったことを忘れないでいる事、
そして、それを思い出す事は大切なのだと教えてくれる。




「ちなつのハワイ」


大島真寿美/著
池田信吾67/装丁・挿絵
教育画劇    1300円

小学校高学年〜




私の小さい頃、夏休みの恒例は母方の実家に泊まりに行くこと。
ほとんど一ヶ月泊まりっぱなし。
私が中学校に入るまで、両親は商売をやっていましたから、
今から思えば、預けられていたのかも…
親の目のないところで過ごすのって、なんともいえない開放感がありましたねぇ。


ちなつが記憶した、ハワイの思い出。
マハロ、ハワイ。
マハロ、おばあちゃん