永遠の出口
生きている間に、
見たり、聞いたり出来ることって、
ほんの少しばかりのこと。
ほとんどのことは、永遠に出会うことはない。
子どもの頃「永遠」という響きに、
めっぽう弱かった紀子。
十代のからだに蓄積されているエネルギーは、
時としてコントロール出来ないほどになる。
未来はどんなふうにも変えることができるはず。
ただ、その方法が見つかるまでに人は、
持っているエネルギーを持て余したり、
無駄遣いしながら徐々に自分の道を見つけていくのだ。
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エピローグより
生きれば生きるだけ、なにはさておき、
人は図太くもなっていくのだろう。
どうかみんなもそうでありますように。
あの青々とした時代をともにくぐりぬけたみんなが、
元気で、燃料を残して、
たとえ尽きてもどこかで補充して、
躓いても笑っていますように――。
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「永遠の出口」
森 絵都/著
集英社 1400円