風をつむぐ少年
本当の友達に出会うこともなく、
みじめな自分の人生を終わりにするはずだったブレント。
そして、ブレントは目を閉じた。
16歳のブレントは転校先の学校の初めてのパーティーで、
散々馬鹿にされ、会場を飛び出した。
高速道路を走行中に自殺を心に決めハンドルから手を離し、目を閉じた。
しかし、人生を終わらせたのは自分ではなく、18歳の美しい少女リーだった。
警察で写真や指紋を取られたその時が、
ブレントの本当の意味の出生届けを出したときかもしれない。
飲酒運転の巻き添えで、人の命を奪ってしまった少年ができることは、
遺族の頼みを受け入れ、アメリカ大陸の四隅にリーという名前の「風の人形」作ってをたてること。
全9章のこの物語は、奇数章はブレントが主人公。
偶数章は他のだれかが主人公です。
ブレントの物語はリアルタイムで時間を追って進んで行くが、
偶数章の時間はブレントの物語とは関係ないところで進んでいきます。
偶数章での「風の人形」を取り巻く四つの物語も、
そして、ブレントの物語もすべてが「生きているってすばらしいことだよ」と教えてくれます。
「風をつむぐ少年」
ポール・フライシュマン/著
片岡しのぶ/訳