雪窓―ゆきまど―


山のふもとのおでんの屋台「雪窓」に、
「三角のぷるぷるっとしたやつください」とやって来たのは…


おでん屋台の「雪窓」は、
奥さんと、一人娘を亡くしたおやじさんの店です。
おでん屋台にしては、変わった名前です。
その屋台に、「三角のぷるぷるっとしたものください」とお客さんがやって来ました。
おやじさんには、それが山のたぬきだとすぐに判りました。
毎晩のようにやってくるたぬきとのおしゃべりは、
独り者のおやじさんの夜を明るくしてくれます。
そうして、たぬきはおでん屋台「雪窓」のお手伝いとして働くようになりました。


ある晩、屋台を閉める前のお楽しみの晩酌を二人で始めようとした時、
一人のお客さんが現れました。
それは、赤いかくまきを巻いた、年の頃なら16ぐらい、
色白で、両えくぼの美しい娘でした。
おやじさんは、亡くした娘にそっくりのその娘を「またおいで」と言って見送りました。
しかし、その後は待てども、待てども娘は現れません。
おやじさんはついに思い切って、娘が住んでいるという隣村まで、
屋台を引っ張り、山越えをすることを思い立ちます。
山の中には、天狗や小鬼、なにやら得体の知れないものも住んでいます。
さて、おやじさんはかくまきの娘に会えるのでしょうか…



「雪窓」

安房直子/作
山本 孝/絵


偕成社 1400円 2006年2月初版発行

小学生〜


かくまきの娘の正体は…