きは  なんにもいわないの


なんにも言わなくても

いつもそばに居てくれるんだね。



お父さんと散歩。
すーくんが「おとうさん、きになって」とお願いしたら、
お父さんは木になりました。
すーくんが何を聞いてもお父さんは
「きはなんにもいわないの」
と、心の中で応えるだけ。
すーくんがお父さんの木にのぼって休んでいると…
虫がいます。
鳥が来ます。
犬も来ます。
女の子もやって来てきます。
何があっても「きはなんにもいわないの」
風がそよそよ、そよそよとふいてきます。
みんなで静かに風にふかれています。
木も、みんなも「なんにもいわないの」


あ〜、いい気持ち…
なんて言わないのね。


こんなふうに子どもの傍に居てあげられたら、
きっと子どもは幸せだよね。
ついつい言い過ぎてしまう私は、
今日から「木」になることを目標にしよう!っと。


静かで、優しくて、なんだか安らぐ絵本。


「きはなんにもいわないの」


片山健/作
学習研究社 2005年10月5日   第1刷発行