ちいさなちいさな王様

あなたの近くにちいさな王様はいますか?

見えていますか?


サラリーマンの部屋にある日突然現われた人差し指サイズの小さな王様。

王様はとても太って、そして、とても威張っている。

話しを聞くと、王様の世界では子供時代が人生の終わりにあるらしい。

生まれた時にはもう何でも知っていて、何でもできて、

年を取るごとに小さくなって、それまでの事を忘れて日々遊んで暮らすようになるらしい。

最後はどうなるのだろう・・・。

その後王様はちょくちょく現れては食事の合間にきまって

王様は「おまえのところのことについて、ちょっと話してくれるかね」

と同じことを命じた。

ある休日に僕は王様に命じられて町に王様を連れて出かけことになった。

不思議な事に、普段は見えない色々な物が王様と一緒に居ると見えた。

でも、町の人たちには王様は見えていないようだ。

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読み進んでいくうちに現実と夢の境がわからなくなってきます。

ゾーヴァの謎めいた絵が物語をますます引き立てて、読者を非現実な世界に誘います。

これはこのサラリーマンが見た夢なのか、それとも私には王様が見えないだけなのか?

気まぐれで、威張っている王様なのになんだか癒される感じがして、

私のところにも王様が訪ねて来たらいいのにと思ってしまいます。




「ちいさなちいさな王様」

アクセル・ハッケ/作

ミヒャエル・ゾーヴァ/絵

那須田   淳/訳


講談社     1300円


創造力・想像力ともに欠如しかけている人、
及び現実に疲れを感じている人に


ゾーヴァの絵が注目され始めたのは
映画「アメリ」のヒットが大きく影響していると思います。
この作品は知らない人でも下の絵葉書の絵を知っている人は多いと思います。

ゾーヴァに興味のある人は百町森のサイトを覗いてみてね。
http://www.hyakuchomori.co.jp/life/card/michael_sowa/sowa_top.html