デューク
歩きながら、私は涙がとまらなかった。
二十一にもなった女が、びょうびょう泣きながら歩いているのだから、
12月1日になったらこの本を紹介しようと、
前から決めていました。
街がクリスマスに向けて色付くこの頃になると、
どうしても「デューク」を読み返したくなっちゃうんです。
何回読んでも、泣ける。
デュークが死んだ。
落語が好きで、アイスクリームと卵料理と梨が好物で、
すねた横顔がジェームス・ディーンに似ている。
音楽が好きで丸くなってピアノに耳を傾けていた、キスの上手な
デュークが死んだ。
止まらない涙を隠そうともしないで、電車に乗っていると、
ハンサムな青年が席を譲ってくれた。
青年と一日を過ごすうちにデュークが死んだ悲しみが解けていく。
クリスマスソングが流れる街で、青年との別れに交わしたキスは…
「デューク」
江國香織/著
山本容子/絵
アドベントカレンダーは、一日一個開けましょう。