あたらしい図鑑
もやもやして言葉にならない気持ちを、
スケッチブックにスクラップする。
あたらしい図鑑とは、そんな図鑑。
かなり小さい(身長141cm)五十嵐純、野球少年13歳。
かなり大きい(身長191cm)村田周平、詩人約80歳。
二人は病院の待ち合い室で偶然出会う。
純は、試合中に足を捻挫して病院にかかった事で、
自分が扁平足だと知らされる。
「扁平足が治れば背が伸びる」という医師の言葉につられて、
よくわからないままに、ギブスをはめて扁平足の治療を始める。
ギブスが取れるまでは野球の練習ができない純は、
空いた時間を持て余していた。
そんな時に出会った、老詩人村田周平に「遊ばないか?」と誘われる。
小さい野球少年は、大きい詩人の家で、
「あたらしい図鑑」に出会う。
そして、村田から渡されたスケッチブックに
言葉にならないもやもやをスクラップする事に…
それは、
まだ咲く前のひまわりだったり、
扁平足の足型だったり、
優勝記念ボールで押したスタンプだったり…
さらに、立ちのぼる白い煙りだったり。
不可解な言葉の意味を知る事で、
自分のまわりの世界も知っていく。
体も心も日々変化していく13歳の夏の物語。
「あたらしい図鑑」
長薗安浩/著
ゴブリン書房 1500円(本体)
このひまわりたち、買い物に行く道沿いで咲いています。
ひまわりの花言葉、知っていますか?
余談ですが、
この物語に登場する詩人村田周平は、
著者の長薗安浩さんが尊敬する詩人田村隆一の名前をアレンジしたのかなぁ。。。
田村を反対にすれば、村田だもの。