潜水服は蝶の夢を見る

はい。
本日、めでたくリベンジ達成しました。
今回は「観てから読みました」




E(ウ)、S(エス)、A(ア)、R(エール)、I(イ)、N(エヌ)、T(テ)、U(ユ)、L(エル)、O(オ)、M(エム)、D(デ)、P(ペ)、C(セ)、F(エフ)、B(ベ)、V(ヴエ)、H(アッシュ)、G(ジェ)、J(ジ)、Q(キユ)、Z(ゼット)、Y(イグレク)、X(イクス)、K(カ)、W(ドウブルヴェ)。


言語療法士が何度も繰り返す、フランス語のアルファベットの響きが
私の中に住み着いてしまいました。
主人公であり、原作者であるジャン=ドミニック・ボービーは実在の人物。
彼はフランスの有名なファッション雑誌「ELLE」の編集長。


ジャン=ドーは、愛する息子と芝居を観にいく途中に、悩幹発作(重篤な脳溢血)に見舞われ、
僅かな症例しかない難病「ロックトイン・シンドローム」と命名された状態に陥ってしまう。
ロックトイン・シンドロームとは、悩(記憶・感情・想像力)はまったく正常なのに、
全身麻痺で身体的には植物人間状態になってしまう事。


そんなジャン=ドーに残された、たった一つの意思疎通の手段は唯一残された左目の瞬き。
「はい」は瞬き1回。
「いいえ」は瞬き2回。


ジャン=ドーとの意思疎通を可能にするために担当の言語療法士が考案したのが、
フランス語の単語で使用頻度が高い順に並べられたアルファベットカード。
介護者がアルファベットを順に読み、ジャンは瞬きをしてアルファベットを選ぶ。


そうやって、20万回以上の瞬きをして書いた(書き取った)
ジャンの命の証としての記憶と想像力を駆使した手記が映画化された。
「生きる」とは「生きている」とはどういう事なのか
さらに、人と人とのつながりについて、考えさせられる。


発作の前後では、天と地以上に違う自分の人生を受け入れていく過程は、
あまりにも真摯で衝撃的だがジャンのユーモア(影の声)のおかげで
決して暗くならいところが有り難い。


しかし、父の日のシーンはあまりにも辛い。



原作の訳者の言葉にジャン=ドミニック・ボービーは
心(魂)のエレガンスをまとっているとある。
まさにファッション雑誌の編集長への賛美に相応しい。


映画では、ジャン=ドーの左目そのものになったカメラワークも素晴らしい。


「潜水服は蝶の夢を見る」

ジャン=ドミニック・ボービー/著
河野万里子/訳
講談社 1600円(本体)

原作を買うついでに、話題の本も買ってみました。


今回、観てから読んで正解だったかも・・・。