一億百万光年先に住むウサギ


北ドイツ、オイティーン湖畔のドーダウアーの森にある
樹齢500年の樫の巨木は、
「恋樹」(こいのき)と呼ばれている。



湘南、鎌倉を舞台に繰り広げられる、
ケイと翔太の物語。
イノセントワールド in かまくら


楽家(元オーケストラのトランペッター)の父と
茶店「アムゼル亭」を切り盛りする母の息子、翔太。
「便利屋サスケ堂」社長の父と
海外を飛び回るルポライターの母の娘、ケイ。
アムゼル亭とサスケ堂は隣合わせ。
そして翔太とケイは同じ中学校の同級生。


数年前に大学を退き、奥さんに先立たれた足立教授。
顔も知らない自分の父親を探すためにドイツから日本にやって来た留学生のマリー。
佐助さんと同級生の陽子さん。
汁粉屋のおばあさん。


木に住む精霊。
星磨きのウサギ。
人は一生に1回だけウサギに星を磨いてもらうことができる。
夜空に輝く星を一つだけ選んで、
ウサギに磨いてもらい輝きが増したら恋は叶う。
磨いてもらうチャンスを逃したら、
2度と巡り会えないウサギ。


受験を控えた中学三年生は、大人になる一歩手前。
精霊や妖精を見ることができるぎりぎりの年齢かもしれない。
サンタクロースは妖精になれたから、キリスト教に受け入れられた。


過去、現在、未来と続く時間の中で
人との出会いは決して偶然ではなく、
この広い宇宙に起きた奇跡なのだと、ウサギは教えてくれる。



「一億百万光年先に住むウサギ」


那須田淳/著
ミヒャエル・ゾーヴァ/装丁
理論社   1500円(本体)2006年9月発行
ヤングアダルト



表紙とタイトルを見ると、何故か外国のお話し?
と思ってしまうのは、ゾーヴァの力?


ちょっと、ロマンチックな気分になれるこの時期に読んだらいい読み物。