みんなのきもち


いろんなものの気持ちになってみよう。
そして、すっきりそうなれる。

そんな、柔らかい頭をいつまでも
持っていたいなぁ。



小学校1年生のさかまきはちろうのクラスでは
毎朝一人づつ発表があります。
どんな発表かというと、
「なにかの自分以外の気持ちになって考えてみましょう」
というテーマがあるのです。


幼馴染で泣き虫のたまよちゃんは
「シャボン玉の気持ち」
になって発表しました。


ふわふわ風に乗って、となり町まで行きました。
と、たまよちゃんが言うと
はちろうは、
「そんなのうそだ」
と言い張ります。
ついに、たまよちゃんは泣き出して、
はちろうは、すっかり嫌われてしまいます。


どうも、はちろうは
「なにかの気持ちになれない」らしい。
でも、月曜日の発表ははちろうの番です。
はてさて、はちろうは何の気持ちになって発表するのでしょうか?



「みんなのきもち」


村上しいこ/作
西村繁男/絵
学研   1200円





「だれかの気持ちになる」って本当に難しい。
毎月、上旬に以前働いていた福祉施設から
「やまばと」とうい通信が届きます。
今月の通信に、知っている利用者さんが
亡くなったとの記事が載っていました。


その方は、とても穏やかな方で
皆に好かれるタイプの男性でした。
彼はここ数年体を壊し、人工透析を受けていました。
通信には透析中のエピソードが書かれていました。


透析中に彼は
「幸せだなぁ」と一言。
知的な発達に遅れがある彼にとって
「幸せ」とはどういうことを言うのでしょうか?
付き添いの職員が
「幸せってなに?」
と聞き返すと彼は
「親切にしてもらうこと」
と答えたそうです。


そこまで読んで、出勤前にも関わらず
私は涙が溢れてしかたがありませんでした。
(歳を取ると箸が転んだだけで泣く)
なんとシンプルでわかりやすい答えでしょう。
「幸せってなに?」
と聞かれたときに、私はなにと答えるのでしょう?


あなたは、なにと答えますか?