たからもの


あなたは、夢のお告げを信じますか?


アイザックをいうとても貧しい男がいた。
彼はその貧しさゆえ、お腹を空かせたまま眠りにつくことも
めずらしくはなかった。
ある晩、アイザックは夢の中で
「都へ行き、宮殿の橋下で、たからものをさがしなさい」
と、お告げを聞いた。
しかし、気にとめなかった。
そして、また同じ夢をみた。
今度も気にとめなかった。


もう一度、同じ夢をみた。
「もしかしたら本当かもしれない」
今度はそう思って旅にでた。
アイザックは森を抜け、山を越え都まで歩いていった。


都に着いたアイザックは、
特にたからものを探すわけではなかったが、
毎朝、宮殿に行き日が暮れるまで
橋のあたりを歩き回った。


ある日、アイザックは衛兵の隊長に声を掛けられる。
アイザックの話を聞くと隊長は
自分のみた夢の話をした。
隊長の話を聞いたアイザック
故郷に戻って、たからものをみつけた。


隊長の話はなんだったのでしょうか?


大切なものは身近にあるのに気がつかないことが多い。
でも、大切なものに気付くためには、
それなりの時間と、自ら求めることが必要なのだ。



「たからもの」

ユリ・シュルヴッツ/作
安藤紀子/訳

偕成社 1200円