ティモレオン


ティモレオン・ヴィッエタは
犬の中で最高の犬種、雑種犬だ。
そして、目が少女の瞳のように愛らしかった。



ハッピーエンド、癒し、夢、希望…を求めて読んではいけません。
2003年3月に和訳されたこの本は不快の連続。
私はかなり無節操な本好きですが、
事ごとく期待を裏切られ、最後まで読み切るのがつらい本でした。
「ティモレオン」を読むきっかけをくれたのは江國香織さんです。
あっ、誤解しないでね。(誰もしてないよ)
そんなに親しいわけではありませんから。
「ティモレオン」が出版された年に江國さんが、講演会の中で今年感動した本の一冊にあげていたからです。
江國香織ファンの私は内容も知らずに買って読みました。
心を揺すぶられることが「感動」というなら確かに感動しましたが…
こんな本にはそれ以前も、その後も出会っていません。


ティモレオンはイギリス人のコウクロフトが飼っている犬。
コウクロフトのところに転がり込んできたボスニア人に遠くのスタジアムに捨てられたティモレオン。
ひたすら家を目指して帰路を辿るティモレオン。
その帰り道に絡み合ういくつかのエピソードは、一つひとつがそのまま一冊の本になりえる程、力強く重い。


あとがきから、翻訳者の言葉をご紹介します。


「物語はあちこちにぶつかり跳ね返りながら、
激しい勢いで道なき道を暴走していき、
読者の思いや期待にはこれっぽっちの配慮もなく、
最後は崖から飛び出してしまう。
まさにグロテスクで残酷で不快な作品なのだが、
同時にコミカルでせつなく美しい作品なのだ。」


さて、読む勇気がありますか?

これってオススメコメントになっているかなぁ…



「ティモレオン/センチメンタル・ジャーニー


ダン・ローズ/著

金原瑞人・石田文子/訳


アダルト向け


原題は 「TimoleonVietComeHome」