ページをめくる指
絵本というものは、
おそらく、
何度も読みかえすためにあるのだ
福音館書店の「母の友」に1996年4月から2年間に渡り連載されたエッセィをまとめたものです。
「子どものためにいい絵本を…」という視点で書かれていないところが面白いし、他にないものに仕上がっています。
取り上げた45冊の本のうち、2冊を除いてすべて大人になってから何気なく手に取って読んだ本という著者の金井さん。
「自分にとって絵本はそれについて書くことよりも、
お気に入りの絵本をそれが好きそうな友人にプレゼントして共有したいもの。」
と。
著者はプレゼントのことを「送り付ける」なんて言っていて、なんだか笑えて私は親近感を覚えます。
こんなこと言ったら失礼かもしれないけれど、
金井さんって本屋の素質あるんじゃないかなぁ。
お店で絵本をすすめる時、私はお客さんと話しをしながらその人の好みを探ります。
そしてその人の好きそうな絵本をおすすめします。
でも、一番嬉しいのは自分のお気に入りをおすすめして買ってもらった時です。
同じ世界を共有できた気がしてとても満足します。
私の場合は、送り付けるではなく買ってもらう訳ですけどね。
小説家、金井美恵子セレクションの洗練された絵本たちをご覧ください。
リストアップした絵本の中の絵を贅沢に使い、
本文の構成もお洒落でこの本自体が洗練された一冊の絵本のような仕上がりです。
「ページをめくる指」
金井美恵子/著
大人〜
河出書房新社 2000円