プラネタリウムのふたご


星の見えない町のプラネタリウムで、
泣き男に育てられた銀髪の双子テンペルとタットル。
鏡に映したようにそっくりな二人は、
同じ明け暮れの間に6回ずつ、日の出と日没を見て育った。



ふたごのテンペルとタットルは4歳で、プラネタリウムの入場券のもぎりを任され、
5歳で、88の星座とそれらを構成する星の名前をそらんじた。
6歳で「おもいをとげる、って、どういうことなの?」と泣き男に聞いた。
14歳の夏、二人は郵便配達のアルバイトをしていた。
その夏を最後に、二人は別々の人生を歩み始める。


一人は偉大な手品師となり、一人は星の語りべとなった。
遠く離れて暮らす二人が8年後に再会したところは、狭くて小さい病院の個室。
『まっくろくておおきなもの』へのつけを支払ったのは
テンペルなのか、タットルなのか…。


すべての後、二人は6本目の指をつないで、
本物の遠い星々の光りを見つめていた。


冬の星空のように澄んだ、不思議でせつなく煌めく物語。



プラネタリウムのふたご」


いしいしんじ/著
講談社  1900円(講談社文庫770円税込)
中学生〜


我が家の現役女子中学生みーちゃん、イチ押しの長編小説。


シリウスプロキオンベテルギウスは、冬の大三角形☆☆☆