ユゴーの不思議な発明


「映画を観るように読む。
世界初のビジュアルファンタジー。」
と、この本の帯に書いてあります。
さらに、コールデコット賞も受賞しているそうですよ。




500ページ以上のボリュームのあるこの本。
これは、絵本なのか読み物なのか?でも、やっぱり絵本でした。
だって、コールデコット賞は優れた絵本に贈られる賞ですから。


160枚以上のイラストや写真が見開きでちりばめられたこの本。
帯の言葉通り「ビジュアルファンタジー」という表現がぴったり!
もちろん、文章だけでも十分に楽しめる物語ですが、
イラストの存在も必要不可欠です。
どのように不可欠なのかは、自分で確認してくださいね。


両親を亡くし一人きりになってしまった少年ユゴーが、
孤独と不信から抜け出し、人生の意味を見つけ出すまでの物語。


時計職人の父親を火事で亡くし天涯孤独になってしまったユゴーは、
同じく時計職人の叔父に引き取られる事に。
しかし、アル中の叔父との暮らしには夢も希望も無く、
そこにあるのは、不信と孤独、盗み、飢え、寒さばかり。


ユゴーのたった一つの生きる支えは、父親の残した一冊のノート。
ある日、習慣になってしまった盗みをおもちゃ屋の主人ジョルジュに見つかり、
その場でポケットの中の盗品と一緒にそのノートも取り上げられてしまう。


そのノートにはユゴーと父親のからくり人形の秘密が記録されていた。
そして、そのノートをジョルジュが見てしまったところから
物語はユゴーの予想もしなかった方向へと展開していく。


読み手をまったく飽きさせる事なく一気に読ませてしまう作者の手法に完全にはめられました。



ユゴーの不思議な発明」


ブライアン・セルズニック/作
金原瑞人/訳
アスペクト 2800円(本体)



作者は実在の人物である映画製作者ジョルジュ・メリエスをモチーフにこの物語を組み立てた。
物語中には、実際の映画シーンの写真も組み込まれて
リアルとファンタジーが絶妙に絡み合い、
まるでジョルジュ・メリエスの自伝かと思ってしまうほど。
ビジュアルファンタジーの世界。ぜひともお試しあれ!