食堂かたつむり

エスカルゴではなくて、かたつむり。
自分の隠れ家と共にゆっくりと歩むかたつむり。
こんな食堂があったら、一度行ってみたい。



かなり唐突に物語が始まります。


トルコ料理店のバイトが終わり恋人と住んでいるマンションに帰ったら、
家財道具のすべてと恋人が跡形も無く消えていた。
15歳で田舎の実家を飛び出した倫子の身に起きた、10年目の出来事。


あまりの出来事に抜け殻になってしまった倫子はストレスから「声」を失ってしまう。
たった一つ残された家財道具は、祖母の形見のぬか床。
そのぬか床と持っていたバスケットだけを持って、
倫子は10年ぶりに高速バスに乗り田舎へ向かった。


恋と家財道具一式と声を失った倫子がふるさとで始めたものは、
メニューの無い食堂「食堂かたつむり」。
この物語には、料理と同じように様々な食材(登場人物)と
いろいろなエッセンス(人生)が詰まっています。


「食」と「命」と「愛」の物語。



食堂かたつむり


小川糸/著
ポプラ社 1300円(本体)



この本、小川糸さんの書き下ろし。
小川糸さんのホームページ「糸通信」に、あとがきが載っています。