青いリボン


居候ってしたことある?
よその家の家族の中で暮らしたことある?



今風に言えば、ホームステイかなぁ。
でも、この物語にはやっぱり居候の方がよく似合う。
女子高生、依子の居候物語。


登場人物は、依子と梢。
依子の母、別居中の父。
梢の家族(お父さん、お母さん、お兄ちゃん、妹、ジイジ、バアバ)
台湾に行ってしまった沖田くん。
梢が好きな裏の家の厚志くん。


母親が上海に4ヶ月の長期出張が決まり、
その間、どこに身を置くか決めかねている依子に
「うちにくれば?」
と言ってくれた梢。
そんなに簡単に「うちにくれば?」なんて言える?


バリバリに仕事人の母との二人の暮らしとは
あまりに違う、梢の家での暮らし。
毎日「きょとん」としっぱなしの依子。
いつも、どこかで人の気配がしている梢の家での居候暮らしは
依子に色々な事を感じさせ、教えてくれる。


人はその生まれる家庭を選べない。
そして、生まれた子どもにはそこを変える力はない。
すべて受け容れていかなければならない。
でも、それがいいのか、悪いのか判断するのは自分。
色々な家庭は外からみたのと、なかに入ってみるのでは違う。
依子と梢の友情と、それぞれの家族の日常。
日々ちょっとした事件も起きるけれど、
それでも暮らしは続いていくのです。


ゆっくり、じわっと、沁みてくる物語。


個人情報保護法だとか、なんとかやたらとうるさい昨今。
隣の家のことさえ見えてこない時代に
梢の家のような、開けっぴろげな家庭は
どのくらい生き残っているのだろうか?




「青いリボン」


大島真寿美/著
井田やす代/挿画
大久保伸子/装丁


理論社 1500円  2006年11月初版
中学生〜


大島真寿美の本って、装丁や挿画が本当にいい。
毎回違う雰囲気に仕上がっているんだけれど、
なんとも、内容にぴったりくる。